◆これだけは知っておきたい 赴任のための海外最新医療情報 ◆

 ●ワクチンの同時接種


 海外赴任のためのワクチン接種は、複数の予防接種をそれぞれ複数回おこわなければなりません。1回に1種類ずつ接種していると全部で3〜4ヵ月必要となり、結果として必要な予防接種をすべてすませることができずに、現地で追加接種しなければならなくなります。現地で予防接種するといっても、もし途上国ならば現地衛生事情や医療レべルの問題がつきまといますし、先進国ではホームドクターに相談することになりますから、ホームドクターが決まっていない場合、ホームドククー探しからおこなわねばならないので、非常に手続きが煩雑になってしまうのです。

 この問題をクリアするための選択肢として、ワクチンの同時接種という方法があります。これは複数の予防接種を同日に施行する方法で、国内では一般的ではありませんが、海外では普通に行なわれている方法です。同時接種の際心配されるのは副反応の発生ですが、それぞれのワクチンの副反応を足し算するだけで良いので、容易に予想がつく問題なのです。

 数年前から、都立駒込病院小児科では同時接種を施行しています。また、当クリニックでは一度に4種類まで(例:ポリオ、B型肝炎、麻疹、狂犬病)の同時接種を行っています。この方法でいままで特に重大な問題は発生していません。また、同時接種は小児も成人もおこなっています。
 同時接種すると、短期間(1〜2ヵ月)で必要なワクチンとその回数を渡航前に受けることが可能です。最近上海に赴任された大手企業の社員の方の例ですが、半年後の一時帰国健診でGOT、GPTが1500以上となり、Hbs抗原陽性(渡航前は陰性)となったため上海で感染した急性B型肝炎(歯の痛みに耐えかねて現地で行った歯科治療が感染源と推定されました。上海中国に限らず東南アジアはB型肝炎ウイルスの汚染地帯です。米国も中南米の移民から多数感染しているといわれています)と診断されて緊急入院したケースがあります。一時帰国健診で発見された幸運な例ですが、この場合でも赴任前にB型肝炎ワクチンを2回接種(1ヵ月必要)していれば感染は防げたはずなのです。


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